何度でも立ち上がる 二重被災のボウリング場、石巻

日本経済新聞
東日本大震災で3千人以上が犠牲になった宮城県石巻市。あの日、津波に襲われた同市のボウリング場「プレナミヤギ」は昨年10月、今度は台風19号で浸水した。震災からの復旧費として借り入れた資金の完済が見えたタイミング。「またか」。肩を落とした経営者、高橋芳昭さん(72)を再びの復旧に突き動かしたのは震災後、営業再開を果たしたときの地元客の笑顔だった。 9年前、旧北上川近くにある市内唯一のボウリング場、プレナミヤギは津波で高さ170センチまで浸水した。客や従業員は無事だったが、べとつく泥が至る所に入り、レーン下の泥をかき出すだけで2カ月以上を要した。 トラック200台分の廃材処理、機材更新などに約1億5千万円かかった。やっとの思いで営業を再開したのは震災から半年後の11年秋だった。